世界映画紀行 - World Express Vol.4

タイの最新映画情報

Hot Movie Reports from Thailand

文と写真:原田 いそよ

Text & Photo by Isoyo Harada

(1999/08/29)

 


「世界映画紀行 - World Express」の第4回は、初めてのタイからのレポート! 実はこのネタ、夏になる前からじーっくりお願いしてたんですよ。筆者の原田さんはタイ人の旦那さんとともに現在バンコク在住。毎日のお忙しさに加えて、タイ・日本間の通信事情が芳しくないにも関わらず、わざわざレポートしてくれました。


◇タイの映画館

 タイではハリウッドの映画が本場アメリカとほぼ同時期に公開されます。これはいつも長い間待たされている日本人にとってはうらやましいことです。タイで見た映画が日本ではまだ予告も放映されていない、なんてことも珍しくありません。まだ映画館での上映が終了していない作品が自宅のケーブルテレビやビデオCD(パソコンができる学生の間ではやっています)で楽しめてしまうのもすごいし、さらにそれらの中には映画館で隠し撮りしてきたとしか思えない画質、音質(画面の下の方に観客の頭が見えるのもあるらしい)のも含まれているのはご愛敬。何しろパソコンソフトの違法コピー率ワーストワンの国ですから、「著作権」についての意識がうすーいんです。

 映画が始まる前にはスクリーンに王室ご一家の写真が映し出され、王室をたたえる歌が流れます。これが始まると、それまで隣の人と話したりジュース飲んだりお菓子食べたりと、好きなことをしていた観客が一斉に立ち上がり、直立不動。「タイ」ではなく「タイ王国」を実感します。約1分間のこの儀式が終わると元の雰囲気が戻ってきます。観客がガタガタ音を立てて席に着いたら映画の始まりです。ちなみにタイにはまだ「不敬罪」がありますので変な反抗心を起こして自分だけ立ち上がらないなんてことは、周りからひんしゅくを買うだけでなく、つかまって牢屋行きの可能性もありますのでやめときましょう。

 映画チケットの値段は外で食べるランチと同じくらいでそれほど高いというイメージはないので、学生から家族連れまで気軽に楽しんでいます。若者のデートコースの中に組み入れられることも多いです。外国、特にハリウッド映画が人気で、日本同様に「タイの映画より洋画の方がおもしろい」と言われています。

 

◇大ヒット作はホラー映画

 そんな、「自国の映画はつまらない」というタイの人の認識を覆した、この夏(タイでは雨期)最大の話題作が、デビュー作でタイ映画史上最高興行収入を記録したノンシー・ニミブット監督の2作目「ナーン ナーク(naang naak)」です。とにかく怖い、と評判になり公開3日間で直前に公開された「スターウォーズ・エピソード1」の売り上げを抜き、史上2位を記録しました。ちなみに3日間での売り上げ第一位は「ジュラシック・パーク2」です。

 「ナーン ナーク」はタイの「四谷怪談」です。今までにも何度も映画化され、タイで知らない人はいないというほど有名です。しかもフィクションではなく実際に起こった事件を元に映画が作られています。

さてその内容は・・・

 夫が軍隊からの召集を受けて戦場へ行くことになった。泣きながら見送る妻ナークのお腹には、小さな命が宿っていた。戦地で負傷しながらもただ一人生き残った夫が傷を治して家に戻ると、そこには赤ん坊を抱いた妻の姿が。久しぶりに幸せな日々を過ごす夫。が、同じ頃何人もの村人が奇妙な死を遂げた。次第に夫は妻の様子がおかしいことに気づき始める。実はナークは難産の末に子供とともに亡くなっていたのだ。目の前にいるナークが幽霊で、村人の死は夫との生活を守ろうとする彼女の祟りだったと知った夫は、村人とともにナークを成仏させようと必死になる。失敗すればするほど彼女の怒りは大きくなり霊力も強くなったが、最後は一人のお坊さんが彼女の魂を鎮めることに成功する・・・

 精霊信仰がいきわたっているタイではたいていの人が霊の存在を信じており、特にお腹に子供がいる女性が亡くなった場合の幽霊が一番怖いと言われていますから、この映画はタイの人の恐怖心を見事についた作品だと言えます。この映画の大ヒットを機会に元気のなかったタイ映画界が再び観客を動員できるようになるか、関係者の努力が期待されます。

 


…原田いそよさんが、タイ人の旦那さんといっしょにつくっているホームページもぜひご覧ください。

         ↓

 Pusit's Page

 タイ人の旦那さんとの国際結婚についての話の他、映画評のコーナーなどもありでくつろげるサイトです。

 

 

 Gateway Index

  

 World Express

  

 HOME

 

 

(C)1999 Isoyo Harada