世界映画紀行 - World Express Vol.12

本場の映画館事情を覗いてみようの巻

〜リヨン篇(2001年11月)〜 

Theaters in Lyon

文と写真:マイコロリ

Text & Photo by Maikorori

(2001/12/10)

 


「世界映画紀行/World Express」も、一回番外編として大阪USJルポをはさんで、新たに再スタートを切らせていただきます。今回訪れたのはフランス第2の都市リヨン。あの話題作「WASABI」や現地のアジア映画祭などの話題も含め、留学生として在住のマイコロリさんのルポをご覧ください。


* 1FF=17円くらい

* フランス語のアクセントなど特殊表記は全て省略。

 

 リヨンはフランス第二の都市と言われてはいるものの、とってもこぢんまりとした街だ。このリヨン市内に映画館は19館。(ちなみにリヨン市の面積は約48Km2で練馬区くらい。)大部分がシネマコンプレックスでリヨン最大のところでは10のサル(salle−上映するホールのこと)を持つ。町の規模の割に、かなり立派な映画館が少なくない。さすが、映画大国といったところか。

 入場料はどこでも、割引なしで50FF弱。割引料金だと40FF弱位になる。学生はもちろんのこと、なんと、失業者もこの割引の対象になる所がフランスらしい。その他に割引デーや、パス、回数券を設けているのは日本同様。私がよく利用するのは、朝イチ上映(11:00台)29FF均一サービス。これは、PATHEという大衆娯楽作品を主に上映している映画館で実施されている。この手の映画館では、ハリウッド輸入作品ももちろんよく上映されるが、ほとんどVF(フランス語吹き替え)になるので要注意。E・マクレガ―がフランス語で愛をささやけば、苦笑必至。それを避けるためには、VOSTF(字幕付きオリジナル版)で上映している映画館を探しましょう。

 

 もうひとつ、趣の異なる映画館として、挙げるのはCNP(Cinema National Populaire)。ここは、日本で言うところの、ミニシアター。文芸大作っぽいものや、とにかくミニシアターでやりそうなもの、稀にに旧作などを上映。参考までに下にあるプログラムのラインナップをご覧あれ。ちなみに、フランスではプログラムの入れ替えは、水曜日。

 

 

 

 

 11月2週目上映作品

PATHE―『ムーランルージュ』、”WASABI”、『A.I.』、『アメリカン・パイ2』、『ロック・ユー』(原題 A Knight's Tale)、『ブリジット・ジョーンズの日記』、『トレーニング・デイ』など。

CNP―"The Barber"(コーエン兄弟作)、『カンダハール』(マフマルバフ監督)、『ノーマンズ・ランド』(日本は2002年公開)、『ミレニアムマンボ』、リヴェット新作、ロメール新作などなど。邦画では青山真治『月の砂漠』、諏訪敦彦『H STORY』。

 

 11月2週目のパリのヒットチャートを見ると、1位『トレーニング・デイ』、2位"J'ai faim!!!"(フランスのダイエットコメディ)、3位コーエン兄弟作品、4位"WASABI"、5位" C'est la vie"(仏映画、ドラマ。J・デュトロン主演)で、以下、8位に『ブリジット・ジョーンズの日記』(5週目)、9位『A.I.』(3週目)。

 

 

■"WASABI"を見て、日本文化を考えるの巻(←ウソです。)

 リュック・ベッソン製作、ジャン・レノ、広末涼子、ミシェル・ミュラー出演の話題作(!?)。『タクシー2』同様の偏った日本の描写には、あきれつつ見る。不思議だったのは劇中の広末の独白や東京の若者の会話などは、日本語でされていたのに、特に仏語字幕もついていなかった点。これ、わけわからん日本人という雰囲気の演出で、字幕をつけなかったのだろうか…。そして、もう一点、疑問。終盤、料理屋のようなところで、練りわさびをもりもり食べる、J・レノ。何頼んだら、そんなに山盛りわさび(だけ)が出て来るんでしょうかねえ?

 新聞の評には「日本のハイテクが垣間見える云々。」ってなことも書いてあったが、実際の反応は、日本がどうというより、普通にレノ、ミュラーのギャグに受けていた模様。この" WASABI "、初日にフランス本土で12万人強動員して、よくわかりませんが興行的には成功したみたいです。

 また、オフィシャルHPにある、キャストの紹介によると、広末は「日本のTV、映画、CMで大活躍の若手女優であり、歌手としても成功している…云々」そうで、彼女の詳細なディスコグラフィ(日本人の私だって知らないよ)と、ご丁寧に当時出演中だったドラマ『できちゃった結婚』の紹介までしてあった(笑)。HPの日本語講座のコーナーも、かなりの苦笑もの。

 

 "WASABI"(www.wasabi-lefilm.com)  仏語ですが、結構笑えるのでひまつぶしにでも。

 

 

■アジア映画祭で異文化体験の巻

 リヨン第7回アジア映画・文化祭 (Le 7eme festival cinemas et cultures d'Asie)

11月10日から始まったこの企画の一環として、インド、中国、台湾、韓国、カザフスタン、香港、タイそして日本の映画を上映。邦画プログラムは『バトルロワイヤル』、『五条霊戦記』、『Hush!』橋口良助、寺山修司作品など全9本、そしてアニメーションでは押井守の2作品、『らんま1/2』、『Blood-The last vampire』など計8本。やはり、というべきか、アニメが目立った。

 この映画祭、私は結局行かなかったのですが、三池崇の『オーディション』を見に行った友人(日本人)の話では、かなりの人が終盤の残虐な拷問シーンで英姫の科白にウケていたとのこと。う〜ん、どんな笑える要素があったんでしょう?作品自体見ていないのでわかりません。友人は気分悪くてとても笑えなかったと申してますが、これぞまさに、ユーモアのセンスの違いってやつでしょうか。

 

■AVANT-PREMIEREでちょっと優越感の巻

 秋から冬にかけて、ここそこの映画館で、「アヴァン・プルミエール」というものがしばしば開催される。これは、いわゆるプレミア上映のような、特別なものではなくて、せいぜい封切2〜3日前などに催される、単なる「封切前特別上映会」といったところ。その上映会には、いつも通り普通に切符を買えば誰でも入ることができる。たまーにだけれど、監督や俳優が挨拶に来ることもあるので、ファンには嬉しい企画かもしれない。

 この時ばかりはいつもがらがらのサルもほぼ満席になるのだが、なぜか、客の年齢層がいつもより高い気がする。館内の平均年齢が普段の、少なくとも倍にはなってる筈。にわかに巣鴨にいる気分。そしておばあちゃん達は必ず映画にきちんと突っ込みいれながら見る。そんな具合なので、町内の皆サマの映画集会の様な和やかムードになることが多い。

 ここで、私は「フランスでは映画はやはり大衆的な娯楽という、扱いなのだなあ」と実感。願わくば、日本でも映画がもっと身近なものになりますように。(ズバリ「安くしてください。」)

 

 それでは、以上、フランスはリヨンよりお届けいたしました。

 

 


 

 

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