世界映画紀行 - World Express Vol.1

イランの映画事情、ちょっと聞きかじり 

Two or Three Things I Heard about the Movies in IRAN

文と写真:石黒敦子

Text & Photo by Atsuko Ishiguro

(1999/06/13)

 


当サイトでは「世界映画紀行 - World Express」と題して、世界各地の珍しい映画事情をお伝えすべくホットなレポートを不定期連載していくことになりました。今回はその第1回。アッバス・キアロスタミ作品で国際的にも有名になり、わが国でも多く観られるようになったイラン映画。でも、その実際はどうなんでしょう? そこで、「DAY FOR NIGHT」もリンクさせていただいているアジアの布についてのサイト「Asian Textiles」を主宰され、アジア・中東などの映画に深い造詣をお持ちの石黒敦子さんにお願いして、イラン現地取材のナマな映画事情をレポートしていただきました。


こんにちは、いしぐろあつこです。

1999年のゴールデンウィークにイランに行ってきました。そこで聞きかじった「イラン映画事情」をご紹介します。といってもペルシャ語はわかりません。作品を見てきたというのではなく、日本語がわかるイラン人の友人に聞いた話を元にしています。

 

◇壁に向かって

イラン映画といえば、日本でよく知られているのはキアロスタミでしょうか。ご覧になったことがある方はその作品をちょっと思い出してください。あるいはイラン映画祭などの会場で大使館関係かと思われる女性の姿を。イランはイスラム教の国。その教えに従って、女性は人目に出る時は、髪やボディラインを隠すことが義務であるため、テヘランの街を行き交う女性たちはほとんどが黒いチャドルで顔以外の全身を覆っています。この決まりは外出時に限ったものではなく、雑誌の写真やイラストであっても、映画の登場人物であっても、ポスターでさえも同じこと。

映画の登場人物もチャドル着用でなくては、ということは一般のハリウッド映画は上映できないということです。スカートからナマ足がのぞいたり、半袖などもご法度なのだから…。でも「タイタニック」などはみんな見ているらしい。どうやって??詳しいルートは知りませんが、海賊版のビデオを手に入れる方法があるようで、ハリウッド作品はこれでキャッチ。また、衛星放送も海外の情報が無条件に入ってくるということで原則としては禁止されていますが、ちょっと細工をして設置している家もあり、ヨーロッパなどの放送は見ることができるそうです。

 

◇主流は戦争モノとメロドラマ

日本でイラン映画が語られる時は、よくハリウッド映画などにはない斬新さや独特の手法などが注目されます。でも日本で紹介されているイラン映画は、本国の作品のごくわずか。多くの作品の主流は戦争モノとメロドラマだそうで、日本で見られているアート系な作品は少ないのだそうです。戦争モノは1980年から88年まで続いたイラン・イラク戦争をテーマとしたもの。炎をバックに主人公が銃を構えている勇ましいポスターをよく見かけました。

一般的に映画の人気はどんなものでしょうか。イスラムの関係でお酒も御法度=飲んだり騒いだり踊ったりできる公の場所がないなど娯楽の数は決して多くはないので、映画は日本に比べれば大きな娯楽の一つと言えるでしょう。東京で渋谷や新宿にそれぞれ何館かあるように、テヘランのような大都会だと、あちこちに映画館は点在していました。でも私が話を聞いたイラン人は、あまり熱心な映画ファンはいませんでした。ハリウッド作品などをビデオで見たりすると、どうしても見劣りしてしまうのかも。


…ということでイランのミニ映画事情でした。この夏、日本のスクリーンに「運動靴と赤い金魚」が登場するようです。どんな作品でどんな“夫馬チェック”が入るのかは、この「DAY FOR NIGHT」でお楽しみください。また、この他のイランの旅のあれこれや、アジアの布について興味をお持ちの方は、いしぐろあつこのホームページ「AsianTextiles」にもお寄りください。

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 石黒敦子さんがアジアの布に徹底的にこだわる、ヒーリング感覚も満点のサイト

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