アジアの映画祭・四都物語
釜山〜福岡〜クアラルンプール〜東京

The Festivals for Asian Films
Pusan - Fukuoka - Kuala Lumpur - Tokyo


日本でアジア映画と言えば、実は東京などメじゃありません。九州は福岡の街こそが、日本におけるアジア映画の「聖地」。そこで開かれる2つの「アジア映画祭」の実際については、多くの人が知っているようで知らないのが現状です。まるはこさんが再登場して解説してくれます。


 

 福岡のアジア映画祭事情・入門篇

 Two Asian Film Festivals in Fukuoka

 まるはこ

 by Maruhako

 

 

 日本には数多くの映画祭がありますが、外国の未公開作品が上映されるのは両手に余るほどしかありません。北から、「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」「山形国際ドキュメンタリー映画祭」「東京国際映画祭」「東京国際ファンタスティック映画祭」「フィルメックス」「あいち国際女性映画祭」「福岡アジア映画祭」「アジアフォーカス・福岡映画祭」と、こんなところでしょうか。東京以外では、福岡市で二つの、それもアジアに特化した映画祭があるのが目を引きますね

 しかし、コアなアジア映画ファン以外はこの2つの映画祭がごっちゃになっているのが現状ではないでしょうか。なんか西の方でおもしろそうな映画祭をやってるみたいだけど、わざわざ出かけて行くほどのこともないだろう…とお考えのあなた、騙されたと思って一度来てみて下さい。病みつきのリピーターになること必至です。タイトルに「入門篇」と付けたのは、「実践篇」を皆様が各自で書いていただくことを期待してのことです。

 

 福岡で最初にアジア映画祭が開催されたのは1987年でした。数年後、これが7月の「福岡アジア映画祭」と9月の「アジアフォーカス・福岡映画祭」に分かれていきます。分裂に到った事情については私は詳しくないので、結果として、福岡市民は年に2度のアジア映画祭を楽しめることになったことだけを書いておきます。

 

【アジアフォーカス・福岡映画祭】

 9月には市の主催する「アジアフォーカス・福岡映画祭」が開催されます。関連企画を除くと、期間は10日前後(2005年は実質9日間)、上映作品は20数作(2005年は15ヶ国、25作品)です。毎日2会場ないし3会場(近接しているので、移動は楽)、一つの作品は期間中に3回ずつ上映されます。大半が国内初上映作品であるのと、ほとんどのフィルムが福岡市総合図書館に保存されることが大きな特徴でしょう。

 この映画祭にはコンペ部門がありません。観客に見せるための映画祭であることは特筆すべきです。チケットは各作品共通、当日券もありますので、会場に出かけていけば観たい映画が観られます。壮絶なチケット争奪戦が強いられる「東京国際」と較べるとなんと恵まれていることでしょう。フリーパス券(前売りだと10,000円)を買えば、全作品制覇も可能です。作品限定のチケットでないので、3回目の上映になると、観客の入りに差ができるのもおもしろい現象です。良い作品は口コミで評判が拡がり溢れんばかりの観客が押し寄せるのに対し、話題作と思われた作品でも作品の質によっては客が激減することもあります。福岡の観客はシビアですよ。

 恵まれていると言えば、ゲストとの距離が近いことも挙げられます。「野放し」と表現されることもあるぐらいで、普通に街の中を歩いていますから、捉まえて話をしたりサインをねだったりできますよ。

 良くも悪くも、ディレクターである佐藤忠男氏の色が濃く出た映画祭であることは否定できません。しかし、ここ数年、地元のスタッフもめきめき力をつけていますから、通訳などは中央の人材の力を借りるにしても、佐藤氏抜きでも映画祭が存続できると言えましょう。観客の年齢層が幅広いことから見ても、すっかり福岡に定着したなと思える映画祭になりました。

 

【福岡アジア映画祭】

 7月の「福岡アジア映画祭」は2週に亘って週末に開催されます。3〜4年前までは平日にも上映があったのですが、現在では週末に集中上映されるようになっています。第1週はドキュメンタリーや短編の作品を小さな会場で上映し、2週目にコンペ部門を含む長編の劇映画が上映されます。

 こちらもチケットは各作品共通です。人気の韓国映画では長蛇の列ができますが、それ以外では空席が目立ったりして、観客の入りにはバラつきがあります。年齢層も若い人が圧倒的ですね。ゲストとの距離は「アジアフォーカス」よりさらに近いです。スタッフの飲み会に紛れ込めば、監督たちと夜通し語ることもできましたし、パーティーに参加すればゲストのお宝グッズをオークションで競り落とすこともできます。

 「アジアフォーカス」が公なら、こちらは私的な映画祭と言えるかもしれません。前田秀一郎氏の力による部分が大きく、彼なしでは存続は困難でしょう。予算も「アジアフォーカス」とは較べものにならないぐらい少なく、フィルムの字幕付けから宣伝まで、ボランティア頼みで運営されているのが実情です。

 前田氏とは古くから付き合いがあります。香港のカンフー映画ぐらいしか知られていなかった時代からアジア映画を日本に紹介しようとしてきた人です。韓国映画も早い時期から上映してこられました。近年のブームに乗りかかった形で、韓国映画が中心の映画祭になった印象がありますが、彼のこれまでの功績を考えると、これも許されるのではないでしょうか。

 

おまけ:【アジア太平洋映画祭】

 参加国の持ち回り開催となっているこの映画祭、2004年は福岡で開催されています。簡単にそのレポートをしてみましょう。

 この映画祭はコンペがメインで、評論家やプレス関係者以外は一部の作品を除いて観ることができません。市民に開かれた映画祭では決してないのです。

 2004年は「アジアフォーカス・福岡映画祭」にたんこぶのようにくっつく形で開催されました。チケットは「アジアフォーカス」のがそのまま使えましたが、当日劇場窓口で整理券をもらえばならないという説明がほとんどなされていなかったために、『オールド・ボーイ』目当てに劇場に来た観客の大半が門前払いを食わされ、会場は大混乱になったようです。会場を貸した劇場側も大迷惑ですね。主催者の不手際は大いに責められるべきです。ちなみに、私は公式サイトで整理券のことを知ってましたし、人気のないであろうベトナムの少年サッカー映画のみの観覧予定でしたから、何の問題もなく観られましたが。でも、パンフレットも販売してもらえないんですよ。プレス関係者には配っているのにね。一般市民を蔑ろにするのもほどほどにしろ!

 実はその前の日本開催も福岡だったのですね。その時も「アジアフォーカス」と同時開催でした。そのことを私は後になってから知りました。「アジア太平洋映画祭」で上映された映画のことを友人から尋ねられたのですが、全然記憶になかったのですね。調べてみると、確かにラインナップにあったのですが、一般の観客には開放されていない作品だったのです。いや、一般の観客に開放されたのは少数で、ほとんどの作品は密室で評論家相手に上映されていたのです。

 そういった経緯がありましたから、2004年の開催についてもあまり期待はしていなかったのです。予想は的中、ラインナップは立派でも、観覧できる作品はごくわずか、それもどういう規準で上映作品を選んでいるのか全く不明です。観客の本当に観たいと思う映画は観られません。

 はっきり言って、この映画祭に関しては日本側のやる気が全く感じられません。マスコミの宣伝は皆無と言っていいでしょう。中央(東京)では開催するつもりがないようで、「お荷物」を預けられた福岡市こそいい迷惑です。

 アジアのほかの参加国はこの映画祭を軽視しているわけではないので、言い出しっぺが「イチ抜〜けた」と止めるわけにはいかず、しぶしぶ続けてるんでしょうか。参加する以上はしっかりやってくれよと言いたくなります。

 


 まるはこ

 福岡と来れば何と不可解なことにアジア映画祭が2つもあるな…と僕が言い出す前に気持ちを察してくれてか、まるはこさん自ら手を挙げて書いてくださいました。感謝感激です。

 博物館と隣の動物園

 http://homepage3.nifty.com/maruhako/


 Gateway Index

  

 World Express

  

 HOME