田口トモロヲ初監督作品「アイデン&ティティ」
 エキストラ撮影参加レポート(後編・横浜編)

 Being on the Set as an Extra : Part 2

 野辺 香(kai)  2003 / 06 / 09 

 by Kaori Nobe (kai)

 

 野辺 香さんが、田口トモロヲ初監督作品「アイデン&ティティ」にエキストラとして出演。その時のエピソードを、レポートに綴ってくださいました。今回はその続編。

 前編・川崎編に引きつづき、今回は舞台を横浜に移しての後編です。


二度目です。横浜アリーナに隣接する横浜アリーナサウンドホールでの撮影でした。5月の設定だったので、服装もそのまんまでオッケー。が、暑い。5月にしては。受付を済ませ、ホール脇の階段に座って待つ間にじりじりと…灼けていく…ああ日焼け止め持って来れば良かった。

階段の両サイドに模造紙のようなものが貼ってあります。「悪魔とドライブ」と言うタイトルと歌詞。……こ、これは…ひょっとして唄うんですか?歌詞覚えるんですか?そしてその歌詞と言うのが、かなり笑いの破壊力満点です。ブルブルブル。これ、笑っていいのかな?笑うよねえ?マジですか?と散々言いたい放題だったところ、助監督さんがやって来ました。この助監さんがいいキャラで(現場では吉田ちゃんと呼ばれていました)、とても元気がよく、盛り上げ方も絶妙。素敵なスタッフに囲まれて大森くんは仕事をしているんだなあと目頭が熱くなりましたよ!

で、その吉田さんから本日の撮影について説明が。

 

「皆さんこんにちはー!本日はライヴシーンです。えー、こちらの紙、ご覧になったと思いますが、今日はこの曲の演奏シーンを撮影します。では、曲を聴いてみてください」

「悪魔とドライブ」がラジカセから流れます。………ふははははは。どうしよう、オモロい。皆どよめいています。

「さて、聴いてみて皆さんどう思われましたか?(皆半笑いで沈黙)…ダセー!って思ったひと。そうです、それでいいんです!(笑)ダサいでしょう?それが狙いなんです」

なんだ〜と皆安心したように笑い出しました。

「この曲は、映画に出てくるバンド、SPEED WAYのメジャーデビュー曲なんです。主人公の中島、峯田くんですね、彼は本当のロックをやりたくてバンドをやっている訳ですが、この曲、どうなんだろう?と思っているんです。他の3人、中村獅童さん、大森南朋さん、マギーさんはノリ一発!みたいなところがあって、『この曲イケてる!格好いい!』と思ってノリノリで演奏しています。そんな中、中島だけが『なんか違うよなあ〜』と思い乍ら演奏をしている、と言うシーンです」

「SPEED WAYのライヴを観に来ている客、皆さんですね、も勿論ノリノリです。この曲を格好いいと思っています(笑)ですから、心の中でダセーと思っていても、それは出してはいけません!(笑)がんばってノリノリで盛り上がってください!」

おお、今回は結構高度なことが要求されるようです。緊張する〜。

 

説明のあと、エキストラはA〜Fにグループ分け。その中から生まれた月、血液型等でまた細かく分けられ、演技の担当が決められます。各メンバー(大森くん=トシ、獅童さん=ジョニー(笑)、マギーさん=マメゾウ(ここで全員爆笑)、峯田くん=中島)の名前を呼ぶひと、タテノリするひと、拳を突き上げるひと(笑)、バンドのサインを指で表示してジャンプしたりするひと(これ「いやあああ!(恥)」とか声が飛んで吉田さんは困り笑いしてました(笑)だってそのサインってのが…うう、恥ずかしい!(笑))など。そればっかりってのもヘンなので、合間に音楽に合わせてノるのは個人の自由でした。私は血液型でトシコール組に。ラッキ〜。

ここで「間違って『峯田ー!』とか言っちゃダメですよ!役名を忘れないでくださいね」と厳重な注意が(笑)ゴイステファンだろうと思われる男の子達が笑っています。いやー、男の子多かったな。モヒカンとか髪の立っている気合いの入った子が。盛り上がりそうだー。

そして「『悪魔とドライブ』、唄えるところは一緒に唄っちゃってください。特にコーラス部分」と、そのコーラス部分「love for satan〜♪」「cry for devil〜♪」をラジカセに合わせて練習。ホールの外でこんなんやってるから、通行人が訝し気な顔をして通り過ぎて行きます(笑)

「曲の前に、ジョニー、中村さんですね、が、MCをします。『俺たちメジャーに行っても、ロックンロールな心意気は変わらないぜ!』(記憶がおぼろなんですが大体こういった台詞でした。勿論巻き舌口調)(全員爆笑)これを受けて歓声をあげてくださいね」と吉田さん。吉田さんは拳の振り上げやサインを

決めてジャンプの演技も実践して見せてくれて、皆和む和む。

いい雰囲気になりました。

「撮影がはじまったら、もう最初っからマックスで行ってください!スタッフが『いや、もうちょっと抑えて』って言う位がいいです。最初恥ずかしがってると、その後盛り上げるのって難しいんですよ。もう思いっきり行っちゃってください。本日隣の横浜アリーナでは、4:30からタッキー&翼のコンサートがあります(笑)。タッキー&翼に負けないように!少数精鋭で!盛り上がりましょう!(全員爆笑)」

これはかなり高度なプレッシャーだわ……が、がんばりやす。

 

説明のあと、準備が出来る迄その場で待機。「曲かけときますからね、聴いて覚えてくださいね!」と吉田さんがかけていった「悪魔とドライブ」が延々流れています。ま、まわる…頭の中をまわる〜きっと今夜寝る時頭の中で鳴りまくるに違いない!助けて!

と言う訳で、すっかり刷り込みされてしまい今でも唄えるんですけど(笑)これ自分達でレコーディングしたんでしょうかね、ヴォーカルは確実に獅童さんの声ですし。獅童さんはCOMPLEX(ビーマイベイベーのアレですな)唱法と言う感じです(笑)

いや、ヒムロックかも知れん。ああ世代がわかる…って、自分もそうですよ!同世代ですよ!

そのうちスタッフの方が、1枚のポスターを壁に貼りにやってきました。「悪魔とドライブ」のポスターです(笑)“デビューマキシシングル!”等のコピーと共に、SPEED WAYのメンバーが例のサインをキメて写っています。皆わらわらと群がり写メール撮りまくり。

 

ようやくホールの中へ。せ、狭い。ちっちゃなライブハウスくらいのハコに、本日のエキストラ250人と、プレス関係者がぎゅうぎゅうです。この日はマスコミお披露目だったのか、取材陣が結構来ていました。前回クラブチッタの時は、入場したらどこへ行ってもよかったのですが、今回は無理。うへー全然見えない!この日は4人編成の演奏なので、楽器のセッティングも変わっています。大森くんの立ち位置はステージ下手側にな

っていました。

背伸びしつつステージを伺っているとトモロヲ監督が。「映画の撮影は皆さんがビックリするくらい、忍耐の連続です。いいものにします!」と挨拶、もうすっかりライヴノリで「ウォー」と歓声が湧きます。吉田さんはこの時点でもう声が嗄れ嗄れ。大丈夫かー(涙)ちょっとした連絡事項があったあと、マギーが出て来ました!もうのっけから盛り上がる。マギーも盛り上げる。あっと言う間に場を持って行きました。メンバーを呼

び込んで、シンプルな挨拶をしてすぐ演奏シーンへ。おおっいきなりオイオイコール!スタッフの不安は吹き飛んだかな?リングの魂ならぬライヴの魂が燃えるねーこういう時は!(笑)

と言う訳でホンマモンのライヴのような盛り上がりでワンテイク。この曲ダセーとか言う思いは場の雰囲気でなかったことに(その場のノリって怖い…)いいスタートです。普段のライヴならうっかりひとの頭を乗り越えて前に行っちゃうんですが、そこは「撮影だから!」と自制しました(当たり前)。

 

ひととおり撮ったあと、「ちょっとここ拍手が多いですねー、拳にしてみましょうか」「ここはサインするのやめましょうか」等の微調整。暑い。ホントのライヴハウスのようです。ふと横に目をやると、どう見ても場違いな厚着に帽子、サングラス姿の男性が。西洋人の容貌。ショールマフラーを口が隠れる程の高さに巻いてもっさりしています。足下を見ると台に乗っている。な、なんだ?そのうち「神様行きまーす」の声が。そう

いえば原作では、ボブ・ディランそっくりの神様が出て来るらしい。そうかあれボブ・ディランだ!そう言えばああいう格好してたなあ。峯田くん演じる中島にしか見えないと言う設定らしい。その隣には、デビューしたての頃の篠原ともえちゃんみたいな雰囲気の女の子。中島ファンの役のようです。

「悪魔とドライブ」で、中島のコーラスがワンテンポ遅れて入る箇所があって「なんで遅れてんの?」と言っていたのですが、どうやらそれは中島が、客席にいる神様に気付いて驚いてい

た為らしい。そっちに気をとられてコーラスに入るのが遅れてしまうんですね。演奏で盛り上がってると思いきや、しっかり演技もしている訳です。当たり前と言えば当たり前なのですが、場の雰囲気にのまれがちな自分はひたすら感心。

神様は、演奏中急にしゃがんで隠れたりしています。中島の視界に入ったり消えたりと言う画を撮っている様子。周辺のエキストラは一緒に数テイク。近くにいないひとはぼんやりしててもいいんですが、曲が鳴ると皆条件反射的にノリノリになってしまうので(笑)川崎の時のように「今ここを撮ってる」ってのがよく判らないままでした…。

そして暑い暑い暑い!ひといきれだけでなく、照明も近くにあるのでとにかく暑い。立っているだけで汗がダラ〜、すっかりライヴハウス仕様です。神様しんどそう。カメラが止まるとすぐにメイクさんがマフラーをとり、汗を拭いてあげたり風を送ってあげたりメイクを直したり。大変です。川崎の時より消耗も激しく、皆どんよりしています。スタッフの方が「休憩中は皆座ってていいですよ、疲れるでしょう。皆が座れるように後

ろに下がりましょう」と、とても気を遣ってくれました。自分たちもしんどいだろうに、いいひとたちだ…(涙)

ステージ上のメンバーはと言うと、やはり川崎の時より余裕がなさげです。ステージも狭いし、暑いし。セッションも今回はあまりなく(それでもちょっとはやってくれました)、ドラムスタンドに座って休憩と言うことが多かったです。

 

撮影も終わり、出演者の皆さんがご挨拶。獅童さんはこの日の撮影が最後とのことで、ちょっとしんみり気味?の振りして「ミュージック・ステーションに出まーす!」とか言ったもんだから場内大ウケ。いやでもひょっとして本気だったらどうしよう。何げに場をうまく仕切れるひとで、サービス精神に溢れている印象でした。あとやっぱり舞台のひとだなあ、発声がすごくきちんとしている。動きもどこからしら緊張感がある。いつでもきちんと自分の姿勢をコントロール出来ているなあと言う感じでした。お疲れさま!

峯田くんは例の山形弁で「映画出るの初めてだし、演技も初めてだし、台詞憶えられっかななんて不安だったけど、いいスタッフや役者さんに恵まれて…」みたいなことを一生懸命喋ってくれました。ライヴ時の鬼気迫る姿とのギャップがすごくて面白い。歓声の音録りの時、切れ気味に暴れて煽ってくれました。峯田ファンの男の子たち大喜び。

マギーは峯田くんの山形弁を真似して大ウケ。自分の役割をよく解っているなあ。峯田くん以外の3人はタメだそうですが、その中でもちょっと兄貴分な印象。頼りになります。

大森くんは協力してくれて有難うとか、面白いものになりますとか結構いろいろ話してくれたような気もするんですが…暑さで朦朧としていた為記憶がありません。結構キャーキャー言われてました(笑)いやん人気者。

 

撮影自体はこの日が折り返し地点だとのこと。出演者もスタッフも、疲労がピークの頃ではないでしょうか。現場の雰囲気自体はとてもいい感じだった(と思う)ので、あとは体調に気を付けて、無事クランクアップ出来ればいいですね!

トモロヲ監督が「皆さんちゃんとチケットを買って観に来てください(笑)」と挨拶してお開きに。記念品は川崎のと同じSPEEDWAY Tシャツでした。

とにもかくにも、完成が楽しみ!年末〜お正月辺りに公開予定だそうです。

 

 

おわり

 


 

野辺さんご本人の日記兼備忘録

I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE

http://www.enpitu.ne.jp/usr4/43818/

 

野辺さんが参加する大森南朋のファン・サイト

Nao Omori unofficial site [Joyride]

http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Cinema/2333/

 

 

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