「あきる野映画祭」プロデューサー

  小林 仁氏 緊急インタビュー(後編)  1999 / 07 / 04

 

 The Interview of MR. JIN KOBAYASHI - PART 2

  (Producer of AKIRUNO FILM FESTIVAL)  

今まで15年おやりになってきた中で、こちらに来られたゲストの方というと?

小林:ここでやってるからということで、ムリしても来てくれる人ってのは多いですよね。一昨年、宍戸 錠さんが来てくれたときに、デビュー作の「警察日記」やったんですけど。マネジャーから「ちょっとムリです」って連絡入ったんですが、それから少し経ってから行けそうですって連絡が来たんです。ただ上映の時間に間に合わないから、ずっと遅れちゃってもいいかって。それは来ていただければ、ご本人に失礼がなければこちらはありがたいですから。で、来られた時に錠さんと話をしたら、実は仕事が入って駄目だったんだけど、オレは「こういうイベントは何を置いても行ってやんなきゃ駄目だ」って怒ったんだって。そういう人って多いですね。工藤夕貴さんが来たときも、生まれ育ったのが八王子なんで地元って意識あるから、何が何でも行きたいって。やっぱり自分の映画の上映時間に間に合わなかったんですけど、来て本当に一言挨拶だけしてそのまんま座りもしないで帰っていったっていう(笑)、そんなこともありましたしね。あと、山田洋次監督がもう何度もお越し頂いているんですけど、「僕はとにかく一番あきる野映画祭を応援するよ」ってよく言ってくれるんですよね。山田さんなんかも「自分の映画の上映の日と違う日なら行けるから」って、全然違う日に来てくれたりね(笑)。金子修介監督も家族連れで、奥さんとお子さん連れて一緒に来て、上映終わってから「じゃあちょっと河原で遊んで帰ります」なんてね。

金子監督の作品、今年も何本かやりますね。

小林:ちょうど前夜祭の「ガメラ」の野外上映と、「就職戦線異状なし」と続くんで、できれば一泊で(笑)ご家族で来てくださいってお手紙を昨日出したんですけれども。まぁ、長く続くとそういうつながりも出てきますから。あと、斉藤耕一監督は私が大ファンで、私的なことを言えば斉藤監督と会いたいがために映画祭始めたようなところもありますから(笑)、斉藤監督の作品は1回目から毎年何らかの映画を上映してるんですけども。たまたま今年「津軽じょんがら節」上映するんですけど、これ1回目にも上映したんですね。でもその時は16ミリだったんで、35でちゃんとした状態は初めて。監督のお友達で三味線の澤田さんっていう人がいるんですが、「じょんがら」を上映してその後生演奏ということをやろうと思っているんです。ちょっとそのへんで暗そうな映画がドンドンドンって続いてるんですけれども(笑)。

でも、ロイドもやるからいいんじゃないですか(笑)。

小林:いつもそこは、金曜日の2本目は澤登翠さんの弁士で無声映画ってのは定番で決めてるんで、ちょっと明るいのいきましょう!って相談して。

最後は女性に人気のメグ・ライアンで締めるという(笑)、これ結構苦労するでしょうね。

小林:まあ、でもそれぞれの日に柱はありまして。ずっとこのかたちですね。5日間というのも変わりません。2日目はフィルコンですし。

野外で怪獣映画はいいですね(笑)。

小林:ええ!これはもう。野外上映は「ガメラ」の1本目(注:金子修介監督による平成「ガメラ」の1作目のこと)を最初にやったんですけどゾクゾクッときましたね(笑)。野外で見るとホント凄いですよ。その年はさっき言ったように、金子監督は家族連れて来ていただいたんですけど、でも野外上映だと我々スタッフもあまりお世話できないし、挨拶していただいても散漫になっちゃう。ちょうど金子さんの「毎日が夏休み」っていう映画も上映するんで、そちらでお呼びしたんです。でもご本人には、「僕はガメラの時に来たかったな」って言われちゃって(笑)。だから今年は、2本続けて来てくださいよってね。

でも、プログラムがコマーシャルな映画もそうでない映画も入ってて…。

小林:そこが売りというか、とにかくいろんなものをね。8ミリのコンテストやってるのも、映画ってのはいろんなものがあるんだよ、「アルマゲドン」も映画だけど8ミリ映画だって映画なんだよってそういうことなんですよね。決して「アルマゲドン」も否定はしないんですよ。それで喜んでくれるお客さんがいてくれればそれでいいと思うし。「ドラえもん」だって「ウルトラマン」だって必要な映画だって思うし。

毎年、まずテーマをお決めになるんですよね?

小林:(実行委員が)みんなそれぞれテーマを出し合うんですが、世相とか、ここ1〜2年の映画の傾向から選ぶ人もいるし、自分がどうしてもこの映画がやりたいっていうと、その映画のテーマもってきちゃうとかね(笑)。あとは自分自身の気持ちからくる人もいますしね。それでみんなが賛同できれば、それはそれでいいと思うし。あとは、映画祭は今置かれている立場とかでね。元々は五日市町のイベントだったものが、合併によってあきる野市のイベントになったじゃないですか。すると、五日市の人たちには理解あるかもしれないけど、あきる野としてはまだまだ理解されない部分とか、もっと我々映画祭が頑張っていかないといけないんじゃないかとか。また、その後もとにかく不況不況で悪い状況になってきたから、そういうのは振り払ってガムシャラにいかなきゃいけないんじゃないかという思いで「力の限り走れ」っていうテーマだったんですけど。今年で言うとやっぱり世相なんですけど、リストラとかそういうの多いですよね。そういうとき自分を見失いがちになっちゃうだろうと。でもホントの自分をもう一度見て、悲観しないで頑張っていこうという気持ちで、今年はこんなテーマなんですね。

でも、古今東西のバラバラな映画を、こういうテーマでまとめて見るのも面白いですね。映画祭も全体で一つの作品づくりをしてるところがありますね。

小林:まったくそうですね! で、一番こだわるのはここ…クロージング作品ってのは、映画祭の最後だし、こっちとしてはたくさんのお客さんに喜んで帰ってもらうというのが一番望んでるところなんですよね。よくお客さんには言うんですけれど、一番最後の作品が例え聞いたことのない映画でも絶対見に来てって。絶対いい気持ちになって帰れる映画を僕らは選んでいるからって。そういう信頼感で来てくれるお客さんもいますよね。今年は最初から予定した通りの映画(「ライフ・イズ・ビューティフル」)がとれて…。

ピタリと決まったって感じですよね。

小林:土曜日は逆に若者向けっていうか、多少マニアックな単館系というか。で、最後の夜の枠(「アルマゲドン」)はまた別枠で考えてますんで。

そこまで結構地味にきてたのが、いきなり(笑)。

小林:そうなんですよ(笑)。

この順番並べていくのも面白いでしょう?

小林:面白いですね、まったく不思議ですよ組んでると。1本できなくなって差し替えることで、順番だけじゃなくて他の映画に変えなきゃいけないってのも出て来るんですよ。

アジア映画なんてどうなんです?

小林:今年はうちもね、最初の案ではアジア映画でドンッて通そうかなって思ってたんですけど、それ来年に持ってこようかって。「八月のクリスマス」なんかね、予告見ただけでこりゃーやんなきゃって(笑)。今年はもう出っこないから、来年これをメインに据えてアジア映画を…。

それは素晴らしいですね! …しかし、8ミリ映画なんかを目玉に据えていると、どうしてもマニアックになりがちなんですけど、このへんのバラけかたは凄いですね。

小林:このバランス感覚が(笑)一番の売りですね。それは、映画祭として何か凄く浸透させるには、マニアックにしたほうがいいんですよ。ただ、その必要ないと思ってるんで。そんなことで名前広めたいって思ってない。

まぁ、そういうのって得てして排他的なものになりがちですよね。

小林:だから、うちは何でもありなんですよね。それが個性っていうか。

ところで、1回でもフィルコンに応募した人には、私みたいに毎年案内送ってるんですか?

小林:送ってますね。一度ね整理しようかと思ったんですが、住所変わったりした人は削ってますけど。「ぴあ」なんかは途中でプツッと私のところへは案内来なくなりましたね。まあ、向こうは数が違いますから(笑)。

あと、まぁ私なんかあんまりマニアックになるとついていけないんで、こちらの映画祭には共感できるんですけど。

小林:そうなんですよね。まあ役所サイドで言えば観光課のイベントなんで、こういうことをやることによって、あきる野を知っていただく。遠い所から人を呼ぶってのが趣旨なんだけれども、まず地元で認知される、地元の人が喜んでくれるイベントじゃないとしょうがないだろうって。

映画祭ってのは場所が大切なんですね。

小林:うちの特徴は、会場が一つってところでね。分散されてないっていうこと、これは大きいと思います。しかも、普通は映画によって上映場所を分けるじゃないですか。一般映画は普通の映画館で、8ミリだったらなんとか会館小ホールとか。でもうちは「アルマゲドン」と同じスクリーンに8ミリを映すんだよと(笑)。

最初の頃はフィルコンの日は、何か関連するような映画やってたんですよ。8ミリ出身の監督の作品とかね。ところがある時、そうじゃなくてそこは超メジャーなものをやった方がいいんじゃないのって話になりましてね。券は1日通し券で、別にフィルコンの日だからって安い訳じゃないんですよ。まぁ、見たくない映画あったら、途中飯食いに行ってまた来てもいい。でも、フィルコンだからって安くはしてないです。同じ映画ですから。で、フィルコンの日の最後の上映に、例えば「タイタニック」をやる。すると「1本じゃもったいないや」って人も出るかもしれない(笑)。じゃあ何だか訳わからないのやってるけれども、昼から見てみようかってコンテストの作品を見に来る人がいるかもしれないじゃないですか。だからむしろ、メジャーな映画をやろうよって。だから、今年はそこ「タイタニック」やろうとしてたんですよ(笑)。

たまたま見ちゃったっていうのはいいですよね(笑)。

小林:そう! だから、必ず来そうな映画の前には、マニアックって言ったらヘンなんだけど、地味めというかあまり知られてない映画を見てもらおうっていうのが、一つの狙いなんですよ。キャパシティ400なんですけど、人気の映画だと入りきれなくなる。立ち見詰め込んで700とか。去年なんか日曜日はずっと入場制限しちゃってる状態で、どれにお客が来るかって常連の人は知ってる訳ですよ。そうすると入れ替え無しですから、朝から来て席とっとく訳ですよ。もちろん見てるんですけれど。だから、人気の映画の前は全然知らない映画でも混むんですよ。そういうところに、みんなが知らないだろうけど見せてあげたいって映画をはめ込む。

今年はそういう抜けた映画ってないですよね?

小林:それで怒るお客さんいるんですよ、「息抜ける映画入れておいてよ!」って(笑)。見なくていい映画いれておけって、そう言われたって困る(苦笑)。

ところで例年、延べで5000人から6000人来られるということですが、そのうち中の人と外からの人では割合的にはどんな感じになってるんですか?

小林:それは、町の人が多いんじゃないですかね。6対4とかそんなもんですね。

そうすると、町の方もかなり楽しみにしておられるんじゃないですか?

小林:楽しみにしてますね。予測してるんですよ。例えば宮崎アニメなら絶対やるだろうとか。だから、映画祭でやるから見に行かないって人もいて。結局やってないですけどね(笑)。「タイタニック」は絶対やると思ってた人もいるし。今年で言えば「踊る大走査線」は絶対映画祭でやると思われて、実際やるんですけど。たぶん1回じゃ収容しきれないだろうなという予測で2回やるんです。去年、日曜日に「東京日和」と「うなぎ」って2本つなげたら、もう全然入り切らなくて。今年も比較的混みそうですかね。

切符の発売はいつ頃からですか?

小林:一応7月1日ってうたっているんですが、もうちょい前から。発売はチケットぴあとか。

今回これは見どころってのはありますか?

小林:一応流れを考えて編成しているんで、1日ベタでなくても、ある程度何本か続けて見てもらえると、その続けた訳みたいなもの、つながりみたいなものは感じ取ってもらえるかなと思います。あと、いつもと違うところは今年、三味線の生演奏やるんで。映画見終わって、その映画の中で鳴り響いてた曲ですよね、それがナマで流れてくると違う感覚で、また映像が蘇ってくるんじゃないかなと。これは始めての試みなんで、このへんも今年の売りではあるんですけどね。

(おわり)

 

いやぁ、まったくタフな人である。それは単に体力があるというわけでなくて、映画に対する考え方の許容範囲の広さにそれを感じてしまう。だいたいこう言っては何ですが、自主映画やってる映研入ってるというような人には独善的な人も結構多いんですが、この人にはそんなところが微塵も感じられない。映画なら何でもこい、何でもありの強靱な胃袋みたいなタフネスが、この映画祭の編成のダイナミズムにつながっているのでしょう。私もついインタビューというより映画ファンのおしゃべりのようになってしまいましたが、そんな会話のノリのよさはこの文面からも十分感じ取っていただけると思います。

7月20日の映画祭開催が待たれます!

 

(C)1999 Jin Kobayashi / Fuma's Workshop


フィルムコンテスト観客審査員の応募は、7月21日(水)までやってます!!

詳しいことは、東京都あきる野市役所内 あきる野映画祭事務局

電話042-596-1511(内線2542)まで、直接お問い合わせください。

 

 

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