私が子供だったころ

 When I Was a Little Child...

 


 

LPデイズ その2

LP Days - Part 2

 

 前回、僕のロック事始めからスタートしたこのシリーズ。今回も中学時代の思い出のアルバムから。

 

アート・ガーファンクル「天使の歌声/エンジェル・クレア」

 映画「卒業」サントラ盤でおなじみ、サイモンとガーファンクルって、僕はほとんど聞いてなかったんですよ。そりゃ曲はいやでも聞こえてきたから知ってはいたけど、アルバムなんてその当時は持っていなかった。実はどっちかというと苦手な方かも。だいぶ後になってから誰かからもらった気がするけど、今はあのアルバムどこにいってしまったのだろう? ともかく僕はブリティッシュロックに夢中だったから、アメリカのポピュラーミュージックってまるで疎かったんですよ。そんなある日たまたまレコード店に入ったら、このアルバムが飾られていたんです。

 サイモンとガーファンクルが解散したってことは何となくは知ってました。でもギター弾いてるのも曲書いてるのもポール・サイモンの方だから、ガーファンクルなんて一人になったらぴんから兄弟の兄貴やワム!のアンドリューみたいに何も出来なくなっちゃうだろうとは思ってたんですよ。というか、僕のサイモンとガーファンクルの知識なんてそんなもの(笑)。

 そこへきて、「天使の歌声/エンジェル・クレア」ときますからねぇ(笑)。いい歳こいてる上に、あのチンチクリン頭のガーファンクルが、テメエでテメエのことを「天使」もねえだろうと笑ってたような次第なんです。

 ところが、その時にレコード店内で流れたのが、明らかにこのアルバムからの曲みたいなんですよ。これがちょっとした驚きだった。口では言えないですけど、ちょっと僕の心の琴線に触れたとでも言いましょうか(笑)。僕は柄にもなくこのアルバムを買って、家に持って帰ったわけです。

 ところでサイモンとガーファンクルの最後の作品って「明日に架ける橋」のアルバムなんですけど、その時のプロデューサーがロイ・ハリーっていう人。この人とガーファンクルとポール・サイモンが、とにかくギッチギチに完全主義でアルバムづくりをしたもんだから大変だったとか。ポール・サイモン、自分のつくった曲は自分で好きなようにレコーディングしたいと、イヤけがさして別れたって話をどこかで読んでたんですね。で、このアート・ガーファンクルの初ソロ・アルバムのプロデュースが、またしてもロイ・ハリーなんですよ。

 一聴すると分かるように、どっちかと言えばポップな方向に向いたポール・サイモンとは対照的に、かつて曲づくりに携わらなかったこのガーファンクルのソロ・アルバムのほうが、よりサイモンとガーファンクル時代の雰囲気を残しているみたいなんですよ。ってことは、このハリーとガーファンクルが二人してああでもないこうでもないと「明日に架ける橋」のサウンドをつくりだしたということになるのでしょうか?

 で、僕が惹きこまれた曲ってのがA面1曲目の「トラベリング・ボーイ」って曲です。静かにスローに始まって、だんだん楽器の数が増えていってドラムスが加わりビートが効いてきて、しまいにストリングスやらオーケストラまで全楽器が鳴り出して一気に盛り上がっていく終盤まで、この曲だけは理屈抜きで気に入ったんですよね。今でも聴いたら「結構いいじゃない」って思うんじゃないですかね?

 この曲以外にもいろいろバラエティに富んだ選曲がなされてて、このアルバムからの第一弾シングルになった「友に捧げる賛歌」なんか、後半の盛り上がり部分にはダ〜ン、ダ〜ンとまるで石油缶をブッ叩くような激しい残響音の効果が使われているんです。これって「ボクサー」とか「明日に架ける橋」など、ロイ・ハリー・プロデュースのサイモンとガーファンクル盛り上がりバラード曲では十八番のエフェクトなんで思わず笑っちゃいましたね(笑)。やってるやってるって感じ。

 根っからのロックファンにはお勧めしませんけど、ちょっと聴いてみると面白いかもしれません。

 

バッド・カンパニー「バッド・カンパニー」

 中学生頃っていうと、僕もいっぱしのロックファンづらをしていましたから、ロックの雑誌なんかも買って読んでいたんですね。そこにあたかも電撃的重大ニュースのように書かれていたのが、この新バンド「バッド・カンパニー」結成の話。フリーのポール・ロジャースとサイモン・カーク、モット・ザ・フープルのミック・ラルフス、それにキング・クリムゾンにいたボズ・バレルの4人が組む。こりゃすごい!

 実は正直言って、この時にはそれのどこが凄いかよく分かっていなかった(笑)

 それぞれの元いたバンドの音楽をちゃんと聴いたことなんてなかった。名前だけは知っているくらいだったんですよね。後になってから知ったという感じでした。だから、すっかりマスコミの雰囲気だけに呑まれた感じだったんですよ。

 それでもクリーム、ブラインド・フェイス、クロスビー・スティルス・ナッシュ・アンド・ヤング以来のスーパースターグループ登場!…との煽り文句を見れば、何となく心も浮き立ってくる。レコードがレッド・ツェッペリン設立の新興レーベル「スワンソング」から発売される(日本では東芝EMI発売のアイランドレーベルによるリリース)というあたりも、周囲の期待のほどを伺わせて話題性も十分。近々登場のデビュー・アルバムが待たれたわけですよ。そして、発売前にラジオでオンエアされたそのサウンドたるや…。

 カッコよすぎる。

 例によってFMなんかじゃない、ザーザーいってるAMラジオの音でもわかる、そのいかしたノリ。これにはノックアウトされてしまいました。

 発売日には速攻でレコード屋に飛んできました。あのカッコいいノリは本物だよな? まさか汚ねえAMラジオじゃないとあの音が出ないってことないだろな? A面一曲目にコワゴワ針を下ろします。

 あワ〜ン、あトゥ〜、あワ〜ントゥ〜スリ〜。

 ドチャッ!!

 うひゃ〜〜〜〜〜〜〜、カッチョよすぎだぜぇぇぇぇ〜〜〜〜〜! 思わず鼻水垂らしてヨダレこぼれて失禁状態(笑)。

 たぶん世界中のロックファンがそう思ったんでしょう。このデビューアルバムA面1曲目、シングルカットされたデビュー曲「キャント・ゲット・イナフ」は、確かいきなり全米ナンバーワンという快挙を成し遂げたはず。

 でもいかにスーパーバンドとは言え、この時代に本格派のロックバンドがシングルヒットを飛ばすとは、しかもそれが全米ナンバーワンとは、何とも異例のことだったんです。特にレッド・ツェッペリンやらキング・クリムゾンやらイエスやらといったブリティッシュロックの本格バンドは、シングルではなくアルバム単位での作品発表をしていましたから。もちろんシングルカットもしてはいましたが、アーティストもファンもそのヒットを重要視してはいなかったんですね。アルバム・セールスがまず基本だったんです。1980年代に入ってバンド再結成ブームに乗って、商売っけ出した元プログレロックの残党たちがエイジア結成して「ヒート・オブ・ザ・モーメント」をヒットさせたり、イエスを再結成して「ロンリー・ハート」をナンバーワンにしたり…というのとは全然事情が違うんですよ。どうかそのへん、一緒にしないでいただきたいです。

 このアルバム、他にもブルージーな「レディー・フォー・ラヴ」とか、やはりノリノリの「ムーヴィング・オン」とか佳曲が入ってますけど、何と言ってもこの「キャント・ゲット・イナフ」にとどめを刺します。またバッド・カンパニー自体も、僕個人としては3枚目のアルバム「ラン・ウィズ・ザ・パック」がとても好きなんですが、やはり何といってもこの1枚目。それも何より、「キャント・ゲット・イナフ」が入っているからなんですね。で、それが彼らの悲劇でもあった。だから、バッド・カンパニーはこの一作目のアルバム、というより「キャント・ゲット・イナフ」をついに超えられなかったわけです。最終的にはバンドの支柱のポール・ロジャースが脱退して、それから一体どうなっちゃったんですかねぇ?

 でもねぇ、それって決してナックが「マイ・シャローナ」一発当てて消えたってのとは訳が違うんですからね。そこんとこキッチリよろしくお願いしますよ。

 

 

 

 

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