私が子供だったころ

 When I Was a Little Child...

 


 

半ズボン

Knee-length Pants

 

 今年の春頃のことですが、僕はコタツでうたた寝をしているうちに、足にやけどを負ってしまったんですよ。

 実は旧作のレビューを書くためにDVDを見ようとしてて、疲れ切っていたのでそのまま寝入ってしまったんですが。ハッと気付いた時には足が真っ赤でヒリついていたような訳。やがてただれて大きく水膨れになって、いよいよ手に負えなくなっていったわけです。

 それでもしばらくして水膨れがつぶれたら治るだろうと思ってたら、これが一向によくならない。たまりかねて医者に行ったら、この手のやけどは低温やけどって言って、なかなか治らないタチの悪いものみたいなんですね。それからかなりの時間が経っても治らず、ズルズルと2カ月以上も通院するハメになってしまいました。

 でも、これって僕の身体の回復力が落ちているんじゃないですかね?

 だって、考えてみたらそうじゃないですか。昔は両足なんか傷だらけ。赤チン塗りまくって真っ赤っかで、それでも平気で飛び回ってたし、できた傷だってすぐに治ったじゃないですか。まぁ、若さという点で今より全然生命力もあったはず。そりゃあ治りが早いのも当たり前でしょう。

 だけどあの当時、何であんなに傷ばかり負っていたんでしょう?

 僕の今回のやけどって、自分としては久方ぶりの傷って感じなんですよ。だけど、子供の頃は常に両膝にかさぶたがありましたよね。そして、常に出来立てのスリ傷があった。あれってどうしてなんでしょうね?

 半ズボンはいてたから膝を傷つけやすかった…ということは言えるんでしょう。それが証拠に長ズボン履くくらいの年齢になったら傷を負わなくなった。だけど、ズボンが長くなったから傷を負わなくなったんでしょうか? 長ズボン履くくらいの年齢になったら、子供は子供でもいいかげんいろいろ落ち着いてくるってことがあるんじゃないでしょうかね。

 半ズボンの年代の頃ってやたら駆け回るしハシャいで暴れるし、あれだけチャカチャカ動けばそりゃ身体の一部をどこかに引っかけたりもする。

 そして何より、身体のバランス自体が不安定だと思うんですよ。

 何しろまだ成長過程ですから、身体の各パーツが大きさも重さもバラバラ。身体全体に比して頭がやたらデカかったりもする。こりゃバランスが悪いわけです。おまけにどんどん成長するんで、今のバランスに慣れた頃にはまた身体のバランスが変わってる。どうしたってフラつくのは当たり前かもしれません。

 今は大人になってそれなりに落ち着き(?)、身体に傷を負うことも少なくなった僕。上に述べたように、このやけどは本当に久しぶりの傷なんですね。そういう意味で、僕らは成長して大人になることで、身体のバランスを得ることは出来たのでしょう。

 ただし、傷を負う場所が変わった

 身体の外に追う傷は確かになくなった。だけど内側…心の奥は、昔よりズタズタに傷ついているような気がします。大人は胸の奥が傷つく。世間の他の人々はみんなタフな顔をしているけれど、実際はボロボロに傷ついているはずです。その傷が癒えぬままに数だけ増えていく。

 ただ、それを弱みとして人には見せられない。そして中には他人を傷つけることで、自分の傷を癒そうとする人もいる。そんな事をしたって、本当は自分の傷をより深くしているだけなんですけどね。何の解決にもなってない。あるいは問題を先送りにしているだけかもしれない。

 それって身体ではなく、心のバランスが不安定になっているってことなんでしょう。

 子供の頃にはなかった身体のバランスを手に入れたものの、いまだに心のバランスは手に入れることが出来ない…それが僕らのような中途半端な大人なのかもしれません。

 考えてみれば僕も、長い間ろくに夜も眠れぬ状態が半年間ばかり続き、それで思わずコタツで寝込んだって経緯があるんですね。だから情けないけれど、僕のやけども心のバランスが狂ったゆえと言えなくもない。何と脆弱で危なっかしいんでしょう。

 僕らが心に長ズボンを履かせるまで、あとどれくらいかかるんでしょうかね?

 

 

 

 

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